名刺で名前にローマ字表記を使う際のポイントを作成サンプルを交えて解説
名刺でローマ字を使うところ
名刺の作成時、氏名にふりがなを付ける際に、日本語(ひらがな)のふりがなではなく、ローマ字が使われます。平仮名でふりがなをつけると稚拙な印象になるため、名前にふりがなを付ける場合はローマ字が一般的です。
しかし、いざローマ字を当てるとなると、「ん」を「M」にしないといけない場合や、「ち」は「TI」でなく「CHI」が正しかったりとややこしいルールがあるので間違えないよう表記の仕方をまとめました。
ローマ字の種類
ローマ字はいくつか種類があり、ヘボン式と訓令式が代表的です。
ヘボン式は、海外の方が、日本語に近い発音をするために作られました。
訓令式は、日本人が、日本語の並びに近くなるよう作られました。
例えば、「た・ち・つ・て・と」をヘボン式と訓令式で表すと下記のようになります。
ヘボン式:「TA・CHI・TSU・TE・TO」
訓令式:「TA・TI・TU・TE・TO」
「ち」と「つ」がヘボン式と訓令式で書き方が異なります。「TI・TU」は英語だと「ティ・トゥ」という発音になってしまいます。「チ・ツ」と発音するためには、「CHI・TSU」と表記しなければ正しく発音することができません。
名刺で使うべきローマ字はヘボン式
パスポートに記載する氏名は、ヘボン式で表記するよう定められています。地名や、固有名詞もヘボン式で表記されていることが多いです。
名刺交換はあなたの名前や職業を伝えることが目的です。名前の読み方が海外の方にも正しく発音していただけるようにするには訓令式ではなくヘボン式で作成した方が良いでしょう。当社のお客様も、ほぼ100%近くがヘボン式を使用されます。
ヘボン式 50音表
あ | か | さ | た | な | は | ま | や | ら | わ |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
A | KA | SA | TA | NA | HA | MA | YA | RA | WA |
い | き | し | ち | に | ひ | み | - | り | ゐ |
I | KI | SHI | CHI | NI | HI | MI | - | RI | I |
う | く | す | つ | ぬ | ふ | む | ゆ | る | - |
U | KU | SU | TSU | NU | FU | MU | YU | RU | - |
え | け | せ | て | ね | へ | め | - | れ | ゑ |
E | KE | SE | TE | NE | HE | ME | - | RE | E |
お | こ | そ | と | の | ほ | も | よ | ろ | を |
O | KO | SO | TO | NO | HO | MO | YO | RO | O |
ヘボン式 濁音・半濁音表
が | ざ | だ | ば | ぱ |
---|---|---|---|---|
GA | ZA | DA | BA | PA |
ぎ | じ | ぢ | び | ぴ |
GI | JI | JI | BI | PI |
ぐ | ず | づ | ぶ | ぷ |
GU | ZU | ZU | BU | PU |
げ | ぜ | で | べ | ぺ |
GE | ZE | DE | BE | PE |
ご | ぞ | ど | ぼ | ぽ |
GO | ZO | DO | BO | PO |
ヘボン式 拗音(ようおん)表
きゃ | しゃ | ちゃ | にゃ | ひゃ | みゃ | りゃ | ぎゃ | じゃ | びゃ | ぴゃ |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
KYA | SHA | CHA | NYA | HYA | MYA | RYA | GYA | JA | BYA | PYA |
きゅ | しゅ | ちゅ | にゅ | ひゅ | みゅ | りゅ | ぎゅ | じゅ | びゅ | ぴゅ |
KYU | SHU | CHU | NYU | HYU | MYU | RYU | GYU | JU | BYU | PYU |
きょ | しょ | ちょ | にょ | ひょ | みょ | りょ | ぎょ | じょ | びょ | ぴょ |
KYO | SHO | CHO | NYO | HYO | MYO | RYO | GYO | JO | BYO | PYO |
ヘボン式ローマ字を使う際の注意事項
促音「っ」は子音を重ねる
日本橋(にっぽんばし) | NIPPONBASHI |
服部(はっとり) | HATTORI |
吉兆(きっちょう) | KITCHO |
抹茶(まっちゃ) | MATCHA |
ち(CHI)、ちゃ(CHA)、ちゅ(CHU)、ちょ(CHO)の前にはTを入れます。
長音「O」や「U」は表記しない(UやOを入れるときと入れないとき)
「―」を省略する場合 | |
---|---|
ニーナ | NINA |
トミー | TOMI |
「い」を省略しない場合 | |
---|---|
新菜(にいな) | NIINA |
富井(とみい) | TOMII |
「う」を含む長音「うう」の場合 | |
---|---|
祐樹(ゆうき) | YUKI |
優子(ゆうこ) | YUKO |
「お」を含む長音「おう」の場合 | |
---|---|
幸太(こうた) | KOTA |
東京(とうきょう) | TOKYO |
「お」を含む長音「おお」の場合 | |
---|---|
大野(おおの) | ONO |
大阪(おおさか) | OSAKA |
末尾が「おお」音で、ヨミカタが「お」の場合 | |
---|---|
伊野尾(いのお) | INOO |
横尾(よこお) | YOKOO |
末尾が「おう」音で、ヨミカタが「う」の場合 | |
---|---|
伊藤(いとう) | ITO |
加藤(かとう) | KATO |
撥音「ん」の表記時にB・M・Pの前の場合は「N」ではなく「M」で表す
本町(ほんまち) | HOMMACHI |
難波(なんば) | NAMBA |
三平(さんぺい) | SAMPEI |
「ヴ」のつく氏名例
ヴィヴィアン | BUIBUIAN または BIBIAN |
ヴォーカル | BUOKARU または BOKARU |
おさらい 特に注意しないといけないローマ字
ヘボン式では音を表すため「じ・ぢ」→JI、「ず・づ」→ZU、「お・を」→O、などとかき分けません。
ヘボン式 | 訓令式 | |
---|---|---|
し | SHI | SI |
ち | CHI | TI |
つ | TSU | TU |
ふ | FU | HU |
じ | JI | ZI |
ぢ | JI | DI |
ず | ZU | ZU |
づ | ZU | DU |
名刺にローマ字を表記する際の注意点
ローマ字の配置の仕方
ローマ字を氏名のふりがなとして表記する場合は、漢字表記からあまり離れないように配置しましょう。横書きの名刺であれば、氏名の上下または右側に文字サイズを少し小さめにして表記するとバランスがよくなります。
文字サイズは小さすぎると読みにくくなるため、8ポイント以上が好ましいです。
姓が先か、名が先か
どちらも間違いではありません。しかし、英語が世界の共通語となり、欧米人に合わせて「名ー姓」と表記している名刺のほうが多いです。
実際に名刺を販売している通販、14サイトを比較したところ、14サイト中11サイトが「名ー姓」の順で表記していました。
しかし、2019年5月21日に政府は「姓ー名」の順で表記するよう、都道府県やメディアに通知することを発表しました。河野太郎外相は、安倍晋三首相の表記を「Abe Shinzo」にするよう求め、 「習近平・中国(国家)主席とか文在寅(ムンジェイン)・韓国大統領らを(姓―名の順で)表記している報道機関が多いのだから、安倍晋三首相も同様の表記が望ましい」と説明しました。
今はまだまだ「名ー姓」が主流ですが、今後「姓ー名」が主流に変わっていくかもしれません。
文化庁は2000年に「姓ー名」を推奨することを発表をしていましたが、あまり浸透していなかったようです。
国語審議会としては,人類の持つ言語や文化の多様性を人類全体が意識し,生かしていくべきであるという立場から,そのような際に,一定の書式に従って書かれる名簿や書類などは別として, 一般的には各々の人名固有の形式が生きる形で紹介・記述されることが望ましいと考える。
したがって,日本人の姓名については,ローマ字表記においても「姓-名」の順(例えばYamada Haruo)とすることが望ましい。 なお,従来の慣習に基づく誤解を防くために,姓をすべて大文字とする(YAMADA Haruo),姓と名の間にコンマを打つ(Yamada,Haruo)などの方法で,「姓-名」の構造を示すことも考えられよう。
ローマ字の書体について
名刺で使用する英字の書体は、日本語表記の書体に近いものを選ぶほうがデザインにまとまりが出ます。
日本語表記が明朝体であれば、英字はTimes New Romanに、ゴシック体であれば、英字はArialに、そうすると画像のようにデザインに統一感が出ます。
大文字と小文字のルールについて
ローマ字で表す固有名詞は、その頭文字を大文字にするのがルールです。
Kitagawa Keiko
Arimura Kasumi
姓を明らかにすることが重要視され、そのことから姓を大文字で描く習慣もあります。
AYASE Haruka
ISHIHARA Satomi
姓のうしろにカンマを入れて姓であることを表す場合もあります。
Hirose, Suzu
イニシャルを使用する場合は、文字のうしろに「.」(とめの印)をつけます。
このとき「.」(とめの印)は省略を表しているので半角スペースも忘れないよう気を付けましょう。イニシャルの書き方には何パターンもありますが、どれも正しい書き方です。
Aragaki Yuiの場合
A. Yui
Aragaki Y.
Y. Aragaki
A. Y.
おわりに
「ち」は「CHI」に、「つ」は「TSU」になど、ローマ字表記を使用するときのポイントを紹介してきました。氏名の書き方についてお伝えいたしましたが、住所の書き方についてもっと詳しく知りたい方はこちらの記事をおすすめします。
名刺の英語表記 住所編
英語で住所を表記する際は、住所の狭い範囲から広い範囲の順に書きます。「市」「区」「町」の書き方や、京都の住所にある「上る」「下る」の書き方についても紹介しています。
スピード名刺館の名刺作成サービス
ローマ字の書き方がわかったところで、名刺の注文をお考えの方は、各入稿方法からご注文ください。
名刺の基礎知識
名刺交換のマナー
名刺の渡し方、複数人と交換する際の順番、受け取った後の扱い方、名刺を忘れてしまったときの対応など、社会人として恥をかかないために名刺交換で失敗しないための簡単なマナーをまとめました。
名刺の英語表記
仕事上、海外とのやり取りがある方や、日本に住む海外の方と仕事をしている方は、英語表記の名刺が必要となるでしょう。名刺の英語表記を作成する場合、ただ英訳すればいいというわけではありません。英語圏での意味をしっかり理解し、適切な表記を使わないと、いらぬ誤解を招いてしまうかもしれません。法人・職種・肩書・役職などの英語表記についてご紹介します。
名刺の印刷を行う用紙は何を選べばいい?
印刷用紙は種類が多く、名刺を注文するときにどの用紙を選べばいいのか迷います。一般的に名刺に適した用紙を、厚み・質感・発色の違いを交えて紹介します。